インターフェース基本機能

インターフェース基本機能

1. 機能概要

本製品のインターフェース基本機能について説明します。

2. 用語の定義

コンボポート

LANポート、SFPポートの2種類を選択できるポートです。
LANポートとSFPポートは同時に使用できません。両方のポートが接続された場合、SFPポートが優先して使用されます。
LANポートのみに有効な設定がある場合、SFPポートには適用されません。

3. 機能詳細

3.1. インターフェースの種類

本製品では、下表の5種類のインターフェースを扱います。

インターフェースの種類 インターフェースID 説 明

LANポート

port

本製品の物理ポート。
固定のLANポートと取り外し可能なSFP/SFP+ポートの3種類があります。
本インターフェースは、 port に続けて"スタックID" + "." + "筐体に印刷されているポート番号" で表現します。

LANポート#1の指定: port1.1

コンボポート

SFP+ポート

VLANインターフェース

vlan

ユーザーが定義したVLAN。
本インターフェースは、 vlan に続けて "VLAN ID" で表現します。
VLAN1の指定: vlan1

スタティック論理インターフェース

sa

ユーザーが定義したリンクアグリゲーション。
複数のLAN/SFPポートを束ねて1つのインターフェースとして使用することができます。
本インターフェースは、 sa または po に続けて "論理リンクID" で表現します。

論理リンクID #1のLACP論理インターフェースの指定:po1

LACP論理インターフェース

po

3.2. インターフェース制御

本製品では、インターフェースに対して下表の制御を行うことができます。

  • インターフェース制御項目

    制御項目 コマンド 説 明

    説明文の設定

    description

    インターフェースに対して説明文を設定します。

    有効化 / 無効化

    shutdown

    インターフェースを有効化 / 無効化します。

    通信速度/通信モード

    speed-duplex

    インターフェースの通信速度と通信モードを設定します。(以下から選択します。)
     ・オートネゴシエーション
     ・10Gbps / 全二重
     ・1Gbps / 全二重
     ・100Mbps / 全二重
     ・100Mbps / 半二重
     ・10Mbps / 全二重
     ・10Mbps / 半二重

    MRU

    mru

    インターフェースで受信可能な最大フレームサイズを 64〜 10,240 Byte の範囲で設定します。

    クロス/ストレート自動判別
    (Auto MDI/MDI-X機能)

    mdix

    接続先のポートタイプ(MDI or MDI-X)を自動判別し、ケーブルの種別(クロス or ストレート)に
    依存することなく相互接続できるようにする機能です。

    速度ダウンシフト

    -

    1000BASE-Tで使用できないLANケーブルが接続された時に、自動で速度を落としてリンクを試みる機能です。
    本機能は、LANポートに対して常に有効となっています。(無効にすることはできません)

    EEE

    eee

    Ethernet向け省電力技術 (EEE: Energy Efficient Ethernet) を使用するかどうかを設定します。
    IEEE 802.3az として標準化されています。

インターフェースに対するコマンド制御は、下表のようになっています。

  • インターフェース制御 対応表

    インターフェース名 説明文の設定 有効化 / 無効化 通信速度/通信モード MRU クロス/ストレート自動判別 EEE

    LANポート

    ○(*1)

    コンボポート

    ○(*2)

    ○ (*3)

    ○ (*3)

    SFP+ポート

    ○(*4)

    ×

    ×

    VLANインターフェース

    ×

    ×

    ×

    ×

    ×

    スタティック論理インターフェース

    ×

    ×

    ×

    ×

    LACP論理インターフェース

    ×

    ×

    ×

    ×

1 : LANポートに対する通信速度/通信モードの設定は、 *10Gbps / 全二重 を選択できません。
2 : コンボポートに対する通信速度/通信モードの設定は、 *オートネゴシエーション1Gbps / 全二重 のいずれかになります。
3 : コンボポートに対する設定は、LANポート側にのみ適用されます。
*4 : SFP+ポートに対する通信速度/通信モードの設定は、 *オートネゴシエーション
10Gbps / 全二重 のいずれかになります。
10Gbps / 全二重 を設定しSFPモジュールを接続した場合には 1Gbps / 全二重 として動作します。

3.3. LAN/SFPポートの初期状態

本製品のLAN/SFPポートは、初期状態で以下のようになっています。

  • 全てのLAN/SFPポートは、アクセスポート(タグなしフレームを扱うポート)として機能し、デフォルトVLAN(VLAN #1)に所属しています。

  • 全てのLAN/SFPポートが所属するデフォルトVLAN(VLAN #1)に対して、以下の機能が有効になっています。

    • MSTP:Multiple Spanning Tree Protocol

    • IGMP Snooping

    • IPv4アドレス (192.168.100.240/24)

    • Telnetクライアントからのアクセス

    • Webクライアントからのアクセス

3.4. ポートミラーリング

本製品は、任意のLAN/SFPポートのトラフィックを、指定したポートにコピーするポートミラーリング機能を提供します。
コピーされたパケットを採取することで通信状況の解析を行うことができます。
本製品では、スニファーポートは1つまで設定が可能です。
また、監視ポートに対しては、監視方向(送受信・送信のみ・受信のみ)を選択することが可能です。
ポートミラーリングの設定は、 mirror コマンドで行うことができます。
初期設定では、ポートミラーリングの設定は無効となっています。

3.5. フレームカウンター

本製品は、LAN/SFPポートごとに送受信したフレーム数をカウントしています。(これをフレームカウンターといいます)
フレームカウンターの参照は、 show frame counter コマンドで行います。
下表にフレームカウンタの表示項目とその最大値を示します。

  • 受信フレームカウンターの表示項目

    表示項目 説 明 最大値

    Octets

    受信オクテット数

    18,446,744,073,709,551,615

    Packets (*1)

    受信パケット数

    34,359,738,360

    Broadcast packets (*2)

    ブロードキャストパケット受信数

    4,294,967,295

    Multicast packets (*2)

    マルチキャストパケット受信数

    4,294,967,295

    Unicast packets (*2)

    ユニキャストパケット受信数

    4,294,967,295

    Undersize packets (*2)

    アンダーサイズパケット受信数
    (64オクテット未満のパケット)

    4,294,967,295

    Oversize packets (*2)

    オーバーサイズパケット受信数
    (1,523オクテット以上のパケット (*3))

    4,294,967,295

    Fragments (*2)

    フラグメントパケット受信数
    (64オクテット未満でCRCが異常であるパケット)

    4,294,967,295

    Jabbers (*2)

    ジャバーパケット受信数
    (1,523オクテット以上でCRCが異常であるパケット (*3))

    4,294,967,295

    FCS errors (*2)

    FCSエラーパケット受信数

    4,294,967,295

    RX errors

    受信エラー数

    4,294,967,295

    Drop packets (*4)

    受信バッファ溢れしたパケット数

    4,294,967,295

    (*1) : Packetsは (*2) のパケットを合計した値になります。
    (3) : LAN/SFPポートに設定した *MRU に依存し、変動します。
    (*4) : テールドロップが無効な場合のみ表示されます。

  • 送信フレームカウンターの表示項目

    表示項目 説 明 最大値

    Octets

    送信オクテット数

    18,446,744,073,709,551,615

    Packets (*1)

    送信パケット数

    12,884,901,885

    Broadcast packets (*2)

    ブロードキャストパケット送信数

    4,294,967,295

    Multicast packets (*2)

    マルチキャストパケット送信数

    4,294,967,295

    Unicast packets (*2)

    ユニキャストパケット受信数

    4,294,967,295

    TX errors

    送信エラー数

    4,294,967,295

    Collisions

    コリジョン発生回数

    4,294,967,295

    Drop Packets(*3)

    テールドロップした送信パケット数

    536,870,911

    (*1) : Packetsは (*2) のパケットを合計した値になります。
    (*3) : テールドロップが有効な場合のみ表示されます。

  • 送受信フレームカウンターの表示項目

    表示項目 説 明 最大値

    64 octet packets

    64オクテット長のパケット送受信数

    4,294,967,295

    65 ~ 127 octet packets

    65~127オクテット長のパケット送受信数

    4,294,967,295

    128 ~ 255 octet packets

    128~255オクテット長のパケット送受信数

    4,294,967,295

    256 ~ 511 octet packets

    256~511オクテット長のパケット送受信数

    4,294,967,295

    512 ~ 1,023 octet packets

    512~1,023オクテット長のパケット送受信数

    4,294,967,295

    1,024 ~ MAX octet packets

    1,024~最大オクテット長 (*1) のパケット送受信数

    4,294,967,295

    (*1) : LAN/SFPポートに設定した MRU に依存し、変動します。

フレームカウンターは、 clear counters コマンドで消去することもできます。

また、LAN/SFPポートの状態を表示する show interface コマンドを実行すると、送受信フレーム数の情報が表示されますが、
本情報は、フレームカウンターの情報をもとに表示しています。
以下に、 show interface コマンドで表示する送受信フレーム数とフレームカウンターの対応について示します。

  • show interface コマンドで表示する送受信フレーム数とフレームカウンターの対応

    表示項目 参照するフレームカウンタ情報

    input

    packets

    受信フレームカウンター の Packets

    bytes

    受信フレームカウンター の Octets

    multicast packets

    受信フレームカウンター の Multicast packets

    drop packets(*1)

    受信フレームカウンター の Drop packets

    output

    packets

    送信フレームカウンター の Packets

    bytes

    送信フレームカウンター の Octets

    multicast packets

    送信フレームカウンター の Multicast packets

    broadcast packets

    送信フレームカウンター の Broadcast packets

    drop packets(*1)

    送信フレームカウンター の Drop packets

    (*1) : テールドロップが有効な場合に送信の情報、無効な場合には受信の情報のみ表示されます。

3.6. SFPモジュールの受光レベル監視

本製品は、SFP/SFP+ポートに接続されたSFP/SFP+モジュールの受光レベル監視機能を提供します。
SFP/SFP+モジュールの受光レベル異常が発生した場合、本製品のポートランプ表示を専用の状態に変更し、SYSLOGメッセージを出力します。
受光レベル異常状態はMODEスイッチの3秒間長押しにより、強制的に解消することができます。
受光レベルが正常範囲に戻った場合、本製品のポートランプ表示を復旧し、SYSLOGメッセージを出力します。
該当ポートがリンクダウンした場合や受光レベル異常状態が強制的に解消された場合にはSYSLOGメッセージを出力しません。
SFP/SFP+モジュールの受光レベル監視設定は、 sfp-monitor コマンドで行うことができます。
初期設定では、SFPモジュールの受光レベル監視の設定は有効となっています。

3.7. 送信キューの使用率監視

送信キューの使用率が高く(60%以上、100%以上)なった場合、SYSLOGメッセージを出力します。
送信キューの使用率が正常範囲(50%以下)に戻った場合も、SYSLOGメッセージを出力します。
送信キューの使用率監視設定は、 tx-queue-monitor コマンドで行うことができます(システム全体・LAN/SFPポート単位)。
初期設定では、送信キューの使用率監視の設定は全て有効となっています。

4. ifIndexの割り当て

ifIndexはインターフェイスに紐づく識別番号です。SNMPやDHCPなどで使用されます。
以下の表に従って割り当てられます。

ifIndexの範囲 インターフェースの割り当て 付与ルール

301 - 4394

VLANインターフェース

ifIndex = 300 + VLAN ID

301: vlan1
4394: vlan4094

4501 - 4596

スタティック論理インターフェース

ifIndex = 4500 + スタティック論理インターフェース番号

4501: sa1
4596: sa96

4601 - 4727

LACP論理インターフェース

ifIndex = 4600 + LACP論理インターフェース番号

4601: po1
4727: po127

5001 - 6050

LAN/SFPポート

ifIndex = 4000 + 1000 × スタックID + ポート番号

5001: port1.1
6001: port2.1
6050: port2.50

5. 関連コマンド

関連コマンドについて、以下に示します。
コマンドの詳細は、コマンドリファレンスを参照願います。

  • インターフェース基本機能 関連コマンド一覧

    操作項目 操作コマンド

    説明文の設定

    description

    シャットダウン

    shutdown

    通信速度・通信モードの設定

    speed-duplex

    MRU設定

    mru

    クロス/ストレート自動判別設定

    mdix auto

    EEE設定

    eee

    EEE対応可否を表示する

    show eee capabilities

    EEEステータス情報を表示する

    show eee status

    ポートミラーリングの設定

    mirror

    ポートミラーリングの状態表示

    show mirror

    インターフェースの状態表示

    show interface

    インターフェースの状態簡易表示

    show interface brief

    フレームカウンター表示

    show frame-counter

    フレームカウンターのクリア

    clear counters

    SFP/SFP+の状態表示

    show ddm status

    SFPモジュールの受光レベル監視の設定

    sfp-monitor rx-power

    送信キューの使用率監視の設定(システム)

    tx-queue-monitor usage-rate

    送信キューの使用率監視の設定(LAN/SFPポート)

    tx-queue-monitor usage-rate

    送信キューの使用率監視の設定表示

    show tx-queue-monitor

    インターフェースのリセット

    interface reset

6. コマンド実行例

6.1. LANポートに対する基本設定

LANポートに対する基本的な設定例を以下に示します。
詳細な設定方法については、コマンドリファレンスを参照してください。

  • LANポート#1 (port1.1) に説明文を設定します。

    Yamaha(config)#interface port1.1
    Yamaha(config-if)#description Connected to rtx1200-router
  • LANポート#1 (port1.1) を無効化します。

    Yamaha(config)#interface port1.1
    Yamaha(config-if)#shutdown
  • LANポート#1 (port1.1) を有効化します。

    Yamaha(config)#interface port1.1
    Yamaha(config-if)#no shutdown
  • LANポート#1 (port1.1)の通信速度/通信モードを 100Mbps/Full に設定します。

    Yamaha(config)#interface port1.1
    Yamaha(config-if)#speed-duplex 100-full

6.2. ポートミラーリング設定

LANポート#1 で LANポート#4 の送受信フレーム、 LANポート#5 の送信フレームを監視できるようにします。
ポートの役割としては、以下のようになります。

  • スニファーポート: LANポート#1 (port1.1)

  • 監視ポート: LANポート#4 (port1.4) 、LANポート#5 (port1.5)

    1. スニファーポートであるLANポート#1 (port1.1) に対して、監視ポートの設定を行います。

      Yamaha(config)#interface port1.1
      Yamaha(config-if)#mirror interface port1.4 direction both (1)
      Yamaha(config-if)#mirror interface port1.5 direction transmit (2)
      1 送受信フレームの監視
      2 送信フレームの監視
    2. ポートミラーリング設定を確認します。

      Yamaha#show mirror
      Sniffer Port   Monitored Port  Direction
      =============  ==============  ==========
      port1.1        port1.4         both
      port1.1        port1.5         transmit

6.3. LAN/SFPポートの情報表示

  • LANポート#1 (port1.1) の状態を確認します。

    Yamaha#show interface port 1.1
    Interface port1.1
      Link is UP
      Hardware is Ethernet
      HW addr: 00a0.deae.b89f
      Description: Connected to router
      ifIndex 5001, MRU 1522
      Speed-Duplex: auto(configured), 1000-full(current)
      Auto MDI/MDIX: on
      Vlan info :
        Switchport mode        : access
        Ingress filter         : enable
        Acceptable frame types : all
        Default Vlan           :    1
        Configured Vlans       :    1
      Interface counter:
        input  packets          : 0
               bytes            : 0
               multicast packets: 0
        output packets          : 0
               bytes            : 0
               multicast packets: 0
               broadcast packets: 0
               drop packets     : 0

7. 注意事項

特になし

8. 関連文書

特になし